「SAPみたいな普遍性重視・現場軽視のIT」は日本人はまじで苦手分野ですけど、逆にこういう「現場に近いところからボトムアップに作られたIT」が、その価値を認められて国際展開するという勝ち筋は、今後うまくブーストしていけるのではないでしょうか?

4. 「温存された生態系」の価値を呼び覚ます

さっきも書いたけど、「過去30年のIT」が社会の隅々に通用させてしまった国は、「生態系が単純化」しちゃった問題があるんじゃないか、と私は常々日本の中小企業に触れてる中で感じてるんですよね。

「過去30年のIT」が隅々まで通用したってことは、ある種のMBA的エリートとテック技術者は「神」になれるけど、現場にいる人はもうまじで「単なる手足」以上の感じにならないところに押し込まれちゃうじゃないですか。

そうすると「現場レベルの人間の自己効力感」も失われて、社会が不安定化する原因にもなってしまう。

一方で、ダイニー社長氏が動画とかで熱く語ってるように、日本の飲食店の現場の熱意はすごいですし、それが結果としてミシュランの星の数が世界一の国みたいなのに繋がってる面はある。

そしてその「現場レベルの自己効力感」が崩壊しないようにするためにこそ、「過去30年のITには消極的だったのだ」というようにポジティブに評価する視点を持ってもいいのではないか、と最近私はよくクライアントの経営者と話しています。

そこで「温存されてきた縁」をそのまま、新時代のIT技術なら取り込むことができる。

むしろ「過去30年の間合理化されずに温存されていた現場レベルの人の縁」があるからこそ、「現場レベルと密に連携できるIT」が生まれる余地もある。

トップダウンでなくボトムアップ型の精神で作られたITが今後の日本の勝ち筋として見えてくるのではないでしょうか?

二本指でピンチイン・ピンチアウトするようなタッチパネルのスマホ操作を「発明」したことで有名な情報工学者の暦本純一東大教授が、