ノルマ超のパーティー券の販売によって「裏金」を得ようとする積極的な意図は、結果的に得ていた還付金等の金額の多寡とは必ずしも一致しない。むしろ、ノルマ引下げ以前からの「裏金金額」が「積極的な裏金獲得の意図」を反映しているとみることもできる。

4. 裏金の帰属

ノルマ超のパーティー券の販売で、派閥から議員側に供与される「還付金」等について、かつては、一度党本部を経由するマネロンによって「合法化」するやり方から始まったと考えられ、その後も「政策活動費」「派閥で処理済」との説明が行われていた。

還付金等を受け取っていた議員側は、それを、資金管理団体、政党支部など、特定の団体宛の金と認識していたわけではなく、あくまで、派閥から提供される「活動費」と認識していたに過ぎない。

そして、多くの議員は、「還付金」等を留保していた目的について、「将来、パーティー券の販売ノルマが達成できなかった時に、自分でパーティー券を購入して補填しなければならなくなることに備えるため」と説明している。

仮に、販売ノルマ未達分のパーティー券を、議員側が購入して補填することになった場合、資金管理団体、政党支部の資金でパーティー券を購入した場合、収支報告書で公表することになり、派閥の所属議員によるパーティー券購入の事実が公表される事態は、派閥側も議員側も避けたいと考えるものと思われる(ヒアリングに応じた議員秘書も、「ノルマ未達分のパーティー券購入費を資金管理団体、政党支部で支出することは困難」と述べている)。結局、ノルマ未達分が生じた場合は、議員個人の資金でパーティー券を購入せざるを得ないと考えられる。

このように考えると、議員側が「派閥から供与された還付金等を、将来ノルマ未達分の補填に備えて保管していた」というのも、還付金等が政治家個人に帰属していたことを示す事実と言えるのである。

以上のようなことから、政治団体ではなく、議員個人に帰属することは明らかである。