つまり、議員側では、「政策活動費」「派閥で処理済」との派閥側からの説明があっても、違法ではないと認識していたことは考えにくいが、一方で、そのような説明を前提に、突き詰めて考えれば、資金の性格は、政党からの政策活動費と同様に、議員個人に向けられたものであり、本来は所得税の課税対象との認識につながったはずである。

3. 「ノルマ超のパーティー券の販売」の議員側の目的

ノルマに対してどのような姿勢で臨むかには、議員によって差があったようだ。最大限に努力してパーティー券を販売しても、課せられたノルマを達成するのがやっとという程度の議員にとって、ノルマ超の販売で裏金を得ようという意図はもともとない。

しかし、議員の中には、ノルマ超のパーティー券の販売によって「裏金」を得ることを意図して、積極的に販売活動を行っていた議員もいたようだ。このような議員の場合、還付金等が「裏金」として供与され、それを議員側で自由に使えることのメリットを享受しようとする意図があったことになる。

このような「ノルマ超のパーティー券の販売によって裏金を獲得しようとする意図」の有無・程度は、必ずしも実際に得ていた「裏金」の金額の大きさと一致するわけではない。

2020年以降のコロナ下で「ノルマの減額」の措置がとられたことから、それまでノルマを達成できる程度パーティー券の販売を行っていた議員に、「ノルマ減額分」が「還付金」「留保金」として供与されることになった。特に、閣僚経験者などノルマが高額に設定されていた場合には、ノルマの引き下げ額も大きく、「還付金」等の金額が高額になったと考えられる。

このように、意図することなく多額の「還付金」等を得ることになった議員は、その多くを、将来、ノルマが引き上げられた場合にノルマ未達で自らパーティー券を購入せざるを得ない場合に備え、「裏金」として保管しておこうとすることになる。実際に、将来のノルマ未達の場合のパーティー券購入費用として「還付金」等を保管していたと説明する議員も多かった。