「清和会」側から「政務活動費なので収支報告書に記載しないでよい」と説明されていたことを、供与を受けていた所属議員の一人である宮澤博行衆議院議員(当時)が防衛副大臣辞任の際の記者会見で明らかにしているほか、政治資金規正法違反で逮捕起訴された池田佳隆氏も、昨年12月にいち早く政治資金収支報告書を訂正した際、そのように説明していた。また、自民党の調査に対する回答の中にもその旨の説明がある。

これらからも、「還付金」等について、「政党から個人あての政策活動費であるから収支報告書に記載不要」との説明が行われていたことは間違いないようだ。

もっとも、三塚、森会長時代においても、そのような党本部を介した寄附の正当化としてのマネロンが実際に行われていたかどうかは不明であり、単にそのように説明されていただけの可能性もある。

しかし、いずれにせよ、そのような「政策活動費という説明」がなされていたことは事実であり、それが、「還付金」等の性格、その帰属、違法性、についての議員側の認識に影響していたことは否定できない。

派閥と党本部との間で資金の移動が行われ、党本部で当該派閥の所属議員に対する政策活動費の支出の手続がとられていたとすれば、「合法的な裏金」として所属議員個人に帰属することになる。この場合、政治家個人に帰属する以上、当該議員の資金管理団体、政党支部等への政治資金収支報告書への記載義務はないが、一方で、原則として所得税の納付義務が生じる。

この党本部との資金移動のマネロンが行われていたとしても、ある頃から省略され、単に「政策活動費」「派閥で処理済」との説明だけが行われるようになった。その説明を、額面通りに信じていた議員がいたとすれば、政治資金規正法違反の認識も、違反を基礎づける事実認識もなかったことになる。

しかし、もし、党からの政策活動費であれば、党本部側から所属議員宛てに、支出した旨の連絡があるはずである。そもそも、派閥の政治資金パーティーの売上の一部還流という認識がある以上、「政策活動費の説明」を額面通りに受け止め「合法的な資金」と認識した議員は少なかったものと思われる。