昨年12月から年明けにかけ、「自民党派閥政治資金パーティー問題」の検察捜査が、異例の大規模捜査体制で行われたものの、「裏金議員」3人が起訴・略式起訴されたほかは、会計責任者の起訴・略式起訴だけにとどまり、起訴された2人についても、公判が開かれる見通しも立たず、事実関係は全く明らかになっていない。

政治資金規正法違反で起訴された清和政策研究会(安倍派、以下、「清和会」)の代表兼会計責任者の松本淳一郎氏の公判でも、検察の冒頭陳述は、単に「かねて、ノルマを超えてパーティー券を販売した場合の『還付金』『留保金』に相当する金額を除いた金額を清和会の政治資金収支報告書に記載していた」と述べるだけで、「裏金問題」の経緯、意思決定のプロセス等の具体的な事実関係は何一つ明らかにしなかった。

4月には、自民党の党紀委員会が、「裏金議員」39人に対して離党勧告から戒告までの処分を行ったが、「単なる不記載であること」を前提とするものであり、所得税の納税への言及すらなく、検察の捜査処分を前提とするものだった。

結局、「裏金問題」の真相は全く明らかにならず、裏金議員は納税すら行わないまま、4月の衆議院3補選で自民党は全敗、支持率低迷を受けて岸田文雄首相が退陣を表明した後の自民党総裁選で新総裁に選出された石破茂氏は、総裁選時に明言した予算委員会開催後に国民の審判を仰ぐとの方針に反して、就任直後に10月27日に衆議院総選挙を行うことを明言した。

裏金問題への対応が全く不十分なまま解散総選挙が行われることに対して、国民の批判が一層高まったことを受け、10月6日、石破新総裁は、派閥幹部に加えて、党の処分の対象となった「裏金議員」についても、説明が不十分で有権者の理解が得られない場合は総選挙で非公認にする方針を明らかにした。

総選挙の公示を目前に控え、「裏金議員」の説明はこれからが本番となった。

私は、裏金問題の真相が全く明らかにならない状況に対して、いくつかのルートを通じて清和会関係の「裏金議員」側に接触を図り、事実解明のためのヒアリングを行うなど、私なりに事実解明に向けての取組みを行ってきた。