このように「会計責任者に任せきり」というのが、処分の要件になっているのは、検察の捜査処分と同様に、派閥政治資金パーティーをめぐる問題、派閥から資金管理団体・政党支部等への寄附の単なる不記載に過ぎないという認識を前提にしているからであり、その「不記載処理」を行った会計責任者に「任せきり」にしていた方が責任が重い、ということになるのである。

しかし、これまで述べてきたように、その前提が誤っている。議員個人に帰属する寄附であることを前提にすると、むしろ、逆の評価となる。「裏金」の管理に議員本人が関わらず、議員事務所或いは議員個人が引き出すことができない口座等で管理し、それを完全に秘書等に任せていた方が、私的流用の可能性が低く、悪質性の程度も低く、議員本人がその資金の使い途に直接関われるようになっていた場合の方が、私的な用途に使われた可能性があり、悪質だということになる。

前記2で、「ノルマ超のパーティー券の販売を行う積極的な意図」が認められ、なおかつ、裏金の管理に議員本人が関わっていた、ということであれば、私的用途或いは違法な用途に使われていた可能性が高く、最も悪質だということになる。

4. 裏金の返還の有無、納税の意思

検察の捜査処分を前提にすると、還付金等は、全額、資金管理団体又は政党支部に帰属したことになり、そのような訂正が行われている。この場合、それらの団体の資金と混同するので、「残余金」は存在しないことになる。

しかし、もともと不記載を前提に供与された「裏金」であったものが、検察の捜査処分を経て、議員側が政治活動費として使えるようになっていること自体に対して国民が納得せず、強い不満を持つのは当然である。

残余金はどうするべきなのだろうか。

既に述べたように、還付金等は議員個人に帰属することを前提にすると、全額が原則個人所得となり、その中で、議員の政治活動費に充てられたものは、所得から控除され、残余金が所得税の課税の対象となると考えられる。