まさに問題の本質とも言えるノルマの設定が、細田博之氏までの派閥会長だけに委ねられていたのか、事務総長など派閥幹部も関わっていたのかについて、派閥幹部だった議員には、単なる「裏金議員」とは別次元の説明責任がある。

前記のとおり、コロナ下では、ノルマ金額が減額されたことが、それまでの同等のパーティー券販売活動をしていた議員に、多額の「還付金」等が入ることにつながった。この際、派閥幹部は、ノルマの減額を早くから認識しており、それに応じて、パーティー券の販売活動のレベルを下げていた可能性がある。

閣僚経験者として高額のノルマを課せられていたと考えられる議員の中で、5年間の裏金総額を見ると、萩生田光一氏(2728万円)、山谷えり子氏(2403万円)、橋本聖子氏(2057万円)らと比較して、清和会事務総長だった松野博一氏(1051万円)、高木毅氏(1019万円)、下村博文氏(476万円)などの裏金金額が相対的に低く、コロナ下の2021年10月から翌年8月まで事務総長を務めた西村康稔氏に至っては、100万円と極端に少ない。このことからも、事務総長クラスの派閥幹部は、事前にノルマの減額の見通しを知り、販売活動をセーブしていたのではないかと考えられる。

  1. ノルマ超のパーティー券の販売を行う意図・目的

    「裏金議員」がノルマ超のパーティー券の販売を行う積極的な意図の有無は、その悪質性を評価する上での重要な判断要素である。

    積極的な意図をもっていたのであれば、「領収書がいらない自由に使える金」を得ようとする目的があったということであり、選挙における買収資金のような「表に出せない金」や私的用途に使う意図があったということになる。

    このような意図がどの程度にあったのかを判断する上で重要なのは、「コロナ下でのノルマ減額」によって予期せぬ形で入ってきた「還付金」等を除外した金額である。それは、意図して得ようとした裏金の金額に近いと考えられる。

    1. 裏金の保管形態