細胞工場の中には、下の図のように、不要になったタンパク質を分解するための破砕機のような分解マシーン(プロテアソーム)も存在します。

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タンパク質を粉砕する分解マシーン/Credit:wikipedia

しかし分解マシーンを動かすコストはタダではなく、不要なタンパク質が増えれば必要とされる分解マシーンの数も増え、さらに無駄が増えてしまいます。

分解マシーンを用意する前に調節する仕組みがあれば、このような無駄を省けます。

ここで登場するのがマイクロRNAです。

マイクロRNAの役割

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マイクロRNAがくっついたmRNAからはタンパク質が作られるのを抑制されてしまいます/Credit:Canva . 川勝康弘

マイクロRNAの正体は20塩基ほどの小さなRNAです。

マイクロRNAは作り過ぎてしまったRNAに結合する機能があり、設計図の部分写しとして働かないようにする機能があります。

タンパク質製造現場で動いている装置(リボソームという)は、ある意味で、プレス機のような仕組みをしており、RNA(設計図の部分写し)を差し込んで、原料となるアミノ酸を流し込みプレスすることで、アミノ酸を繋げ、タンパク質を作っていきます。

しかしマイクロRNAが結合してしまうと、RNAの差し込みが上手く行われず、プレス機が停止してしまいます。

またRNAに余分な構造がくっついていることで、新たなプレス機を作るときに障害となり、新規のプレス機の組み立ても上手くいかなくなってしまいます。

さらにマイクロRNAが結合したRNAは、安定性が低下して分解されやすくなることも知られています。

プレス機の動きや新規組み立ての迷惑になる前に、余分なRNAを分解してしまえば、より効率的でしょう。

このようにしてマイクロRNAは、余分なRNAがこれ以上不必要なタンパク質を作るのを阻害するのです。

まとめ

「マイクロRNAは余ってしまったRNAに結合して無駄なタンパク質が作られるのを防げる」