工事にかかわる費用を精査できなければ、新たな区有施設整備計画、それに関連して次期・基本計画を策定することはできません。

そこで今後の施設整備に大きな影響を与える物価と人件費の高騰などについて整理しました。

  1. 物価高騰について

    区内事業者と懇談すると、とりわけ物価高騰対策について多くのご意見をいただきます。事業者は契約期間中に上昇した物価上昇分の補填を求めており、決してわがままを言っているわけではありません。

    一般財団法人建設物価調査会によると、東京における建設資材の物価指数は2015年1月を100とした場合、右肩上がりに上昇し2024年7月は138.3、10年間で38%の上昇、うち2021年以降の3年間で約33%の伸び率です。

    図2 建設資材物価指数(東京)

    数か月で建設資材の値段は大きく変わるため、工事請負契約約款に設けるインフレスライド条項の規定があります。事業者は賃金水準または物価上昇の変動により契約金額が不当となったことを区へ資料として示し、区と協議できるものです。建設中、インフレの影響で当初の契約金額よりも上昇し区の財政は非常に厳しい方向に働きます。

    短期的な視点だけではなく長期的な視点でいえば、先に挙げた2026~2030年における施設整備関連費の物価高騰分を20%で再試算しましたが、現状はさらに早い上昇スピードであり、再々試算が必要です。区有施設整備計画を検討する上で物価高騰の取り扱いについては十分に反映し、抜本的に改訂しなければ、施設計画、財政は破綻します。

    そのための考え方は「4. 同計画の改定について」に示します。

  2. 人件費上昇について

    国土交通省が示す「公共工事の設計労務単価」は、平成24年度に単価算出手法の大幅変更があり、必要な法定福利費相当額の反映が実施され、12年間連続、右肩上がりで増加し、プラス75.3%となりました。

    図3 令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について