令和5年中野区議会第4定例会総務委員会において、区はこの上昇理由を、物価高騰による建設コスト増に20%上昇、ZEB化、要するに環境に配慮した建物にすることで10%上昇し、整備費用は合計1.3倍になると見込んでいるとの答弁でした。残りの27%は、施設改修の遅れや、区民ニーズにより廃止予定施設を残存し、施設改修の必要性が生じたためとのことです。

私は過去に、建設費用をハード事業費とし、その他区民サービスをソフト事業費としたとき、ソフト事業費は毎年平均30億円の必要経費が増加しています。それに建設コストの上昇を加味して、試算すると5年後の令和11年には区財政が破綻する可能性を示唆しました(参考:終わりの始まり?中野区の財政運営)。

図1 基金残高の推移(区想定、インフレ有無、ソフト事業費増加CASE別)

また、近年の学校などの建替えにおいては、延べ床面積がおおよそ1.3倍になっております。「鍋横区民活動センターの建替え計画」においては、延べ床面積が530㎡から1.79倍の949㎡へと増加しています。

表2 鍋横区民活動センター各室面積の比較(現施設・検討案)

「中野区区有施設整備計画」において「更新年数経過後に現在と同じ延床面積で更新すると仮定し、延床面積に更新単価を乗じて更新経費を試算する」としているにもかかわらず、区民ニーズを反映のためか面積を激増させています。

表3 中野区区有施設整備計画の施設更新経費の試算条件

ちなみに、先ほどの施設関連経費の上昇理由にこの延べ床面積の上昇は入っておらず、反映すればその分の費用が上昇します。もちろん必要に応じて面積を増加すべきですが、区有施設整備計画における「現在と同じ延べ床面積で更新」という前提条件は破綻しています。

予算には限りがあるため、財政課、施設課などは、区有施設の建設において、基本設計を手掛ける前に予算、延べ床面積等の規模をそれぞれの施設に対して、明示し、持続可能な財政運営に努める必要があると考えます。