それに加えて、2019年に施行された「働き方改革関連法」では、時間外労働の上限規制を罰則付きで定めました。ただし、建設業界や運送業界には5年間の猶予期間が与えられ、2024年4月からの適用となりました。

長時間労働の是正により、時間外勤務の見直し、週休2日制が実質義務化し、建設業では工事現場への移動・準備時間なども勤務時間に含まれるようになりました。

以前であれば、工事現場における労務管理は粗雑で、例えば7時に会社に集合、車に道具と材料を積み込み、現場に向い、8時に現場到着、道具と材料を下ろし、8時半に作業開始としたとき、7時からの準備、移動時間は勤務時間に含まれませんでした。

今の事例で、働き方改革前、実質の作業時間を8時間の勤務としていたならば、働き方改革後は片道の移動等の時間で1時間かかれば、往復2時間分が勤務時間になるために実質の作業時間は6時間となり、作業時間は25%減ったわけです。

一日の作業時間減少に伴い、作業日数・人工が激増する上に、週休二日制度が義務化されました。結果的に人件費は10年前に比べて2倍以上になっており、施設整備に大きな負担となります。

4. 中野区有施設整備計画の改定について

今後費用が増大する区有施設の整備計画を改定するにあたり、中野区の財政事情に対して身の丈に合った、中野区に必要な施設数、配置、延べ床面積等などの目標値を定めるファシリティーマネジメントを策定すべきだと考えます。そのためにも単体の施設のみで考えずに、地域ごとに必要最低限の施設の数、配置、面積などを今一度改めて精査し、計画を策定すべきです。

施設更新においては現地建て替え、跡地活用などありますが、今後は民間活力を最大限に利活用するべきです。新北口駅前エリア、新中野サンプラザは高度利用地区の指定により、容積率600%だったものを、地域に対する公共貢献をするという条件のもと容積率を1000%として計画されました。