「大佐は昔からそうですよね。人の嫉妬心や功名心をくすぐり利用する。ガルマさまの件に至っては数年にわたり接近し学友としてライバルを演じるところから始め、自分に張り合わせることで自滅させるなんて、まあ執念深いお方」

「しかし、こうした駆け引きはリーダーにとっては重要なテクニックだ。私はそれに長けているに過ぎない」

「では、いいですか。ガルマさまは大佐の部下ではないので責任範囲外ですから、管理責任は発生しないのでよいでしょう。しかし、ジュネイはあなたの部下です。管理責任が発生します。嫉妬に狂ったジュネイは功を焦り、戦争中とはいえ、相手の兵士を戦闘中に人質にとり、無抵抗のまま敵前で虐殺しました。これは戦後法廷にかけられれば戦争犯罪に問われることでしょう。大佐はリーダーとしてのご自身の過失を理解されていますか。これが企業であれば、上司が部下を不必要に扇動し、部下がコンプライアンス違反したのと一緒です」

「うう……」

稀代のカリスマ ビジョナリーリーダー

「その通りだよ。シャア。お前はリーダーとして間違えている。ララアから識学を学びよく分かったよ」

「その声は、アムロ、アムロ・レイか!」

「シャア、相変わらずだな」

「アムロ、お前のように組織の一員としてしか生きられず、才能を愚民どもに浪費されたやつに言われたくはない。」

「そうかな。シャア、俺は組織の一員として自分の責任、役割を全うし、そのなかで最善を尽くしただけだ。俺がリーダーになれなかったことは、確かに才能を生かしきれなかったと言えるかもしれない。しかし、リーダーとしての素養がまだまだだったからその機会が与えられなかっただけだ。識学を学んだ今はそれが分かるんだ。あの当時は格好をつけてリーダーは柄じゃないなどと言っていたが、組織内で選ばれなかったに過ぎなかったんだよ。それでも、与えられた役割は全うしたさ」

「しかし、アムロ。組織組織と言うが、君だって一度は地球連邦(ティターンズ)を裏切りエウーゴに合流したじゃないか」