「分かりました。では大佐。組織においてルールとはどんな役割を果たすものでしょうか」
「何をいうかと思えば、そんなことか。ララアはまだまだだな。そうだな、我々軍人にとってはルール、つまり規則は非常に重要だ。規律があることで一糸乱れぬ行動が取れ、それができなければ戦いで勝てない。チームの一員であればルールは絶対のものだ。そうだろ」
「そうですよね。ではリーダーは、ルールに関してどういった責任と役割を持つでしょうか」
「それは、チームが勝利するために最適なルールを迅速に決定し、指示を出し、ルールを守らないものは厳しく罰しないといけな。ララア、私は軍人だぞ。そんな当たり前のことを――」
「では大佐。大佐はリーダーとしてルールを徹底されていらっしゃいましたか」
「……ララア、言いたいことが分からないのだが」
「ではお教えしましょうか。クエス・パラヤという女の子、いらしましたよね」
「なんのことだ……ああ、彼女は優秀なニュータイプとしての素質を持っていた。優秀な人間というのは、ともするとその特殊な能力故周囲と合わないことがある。私の特権で彼女には自由にやらせることで――」
「そこですよね。大佐はおぼっちゃまでいらっしゃって、特別扱いされるのに慣れていたせいもあるかもしれませんが、組織においてそれはNGです。なぜかは先ほどご自身でおっしゃいましたよね」
「ララア、君はやきもちを……」
「焼いていません。事実を申しております。それによって彼女はスタンドプレーをし、大切な最終兵器であるアルパ・アジールを十分な成果をあげる前に大破させてしまったのです。彼女を殺したのは、大佐、あなたです」
「うう……」
相手の感情を巧みに操る「大佐、そのときギュネイ・ガスという若者がいたのも覚えていらっしゃいますか」
「もちろんだ。私が人工的に薬物などで強化した優れた兵士だ。そのせいもあり感情の起伏に極端なところがある。彼がクエスに気があるのを分かっていたので、クエスが私に好意をもっていることを利用して、けしかけることで、嫉妬心を闘争心に変え、力を発揮させるようにした。そのおかげで彼は連邦軍の核弾頭を大量に破壊するというエースクラスの戦功を残したのだ」