――例えば富士山は活火山って呼ばれますよね。でも私たちから見ると富士山って登山客でごった返していて安全な山に見えます。実際、富士山は火山学者から見るとどういう状態なんでしょうか?

石塚:富士山は、今でも活発な火山の一つに数えられ、常時観測の対象になっています。直近の噴火は江戸時代中期の宝永噴火ですが、それ以降も地震活動などの高まりが観測されることがあります。特に異常は見られないけれど過去に規模の大きな噴火を繰り返し起こしたことも考慮されるので、富士山は重要な位置づけにあるんです。

―― さきほど山の成り立ちに興味があったという話がありましたが、富士山の誕生はいつ頃だったんでしょう?

石塚:最初の噴火は、今からおよそ10万年前と考えられています。山麓の地層から、当時の噴出物が見つかっているんです。

ただ、それ以前の活動についてはよくわかっていません。その後の新しい噴出物に埋積されて、痕跡が見つかりにくいので。

―― そもそも火山はどのようにして生まれるんですか?

石塚:火山は、マグマが地下で溜まり、地表に噴き出すことで形成されます。マグマが上昇してくる通り道ができ、そこから噴火が繰り返されることで、山体が成長していくんです。マグマだまりの状態が、火山の活動に大きく関わってきます。

―― 日本の火山は、これからも新しく誕生する可能性があるんでしょうか。

石塚:十分ありえます。実際、小笠原諸島の西之島では、2013年に噴火が始まり新島が形成されました。その後、溶岩の流出によって島が拡大し、国土が広がっているんです。

日本列島はもともと、こうした火山活動によって作られてきました。大昔の海底火山の噴火が、現在の陸地を形作ったと言えるでしょう。

―― 逆に火山の寿命というのは、どのように捉えられているんですか?

石塚:火山の寿命を特定するのは難しいんです。最初の噴火から、活動が完全に収束するまでを寿命と考えることもできますが、噴火の痕跡は地下深くに埋もれてしまうことが多い。