ただ、最初の爆発的噴火の年代が特定できれば、おおよその寿命は見えてきます。多くの火山の寿命は、数十万年程度と考えられています。
―― こうして聞いていくと火山にも人生というか一生と呼べるものがあるんだなと感じますが、火山の一生っていうのはどんな風になっているんでしょうか?
石塚:火山の一生には、ある時期に「急に成長する」時期があると考えています。
誕生から間もない時期は、マグマはあまり地表に噴出されずに活動は低調なのですが、「成長期」になると、短い期間で繰り返しマグマがたくさん出て、山をどんどん高くするようになります。溶岩流、規模の大きなプリニー式噴火(連続的に大量な軽石・火山灰を放出する爆発的噴火)、その爆発的噴火による噴煙中が崩壊して火砕流の流下も起こしたりします、最も活動的な時期です。
成長期には山体崩壊して山を崩すこともあり、崩しても再び成長していったりします。成長期が過ぎていくと、長い期間をかけて噴火の頻度は減っていき、山は侵食が進んでいきます。
もちろん、これは一般論で、火山によって特性は異なります。
―― その考え方では富士山は、今どの段階なんでしょう?
石塚:富士山は、まだ誕生から若く成長期に入ったあたりと考えています。初めての噴火から10万年ほどで、火山の寿命から見れば、まだ若いんです。溶岩流の噴出や山体崩壊を経験しながらも、全体としては成長を続けている。
富士山の美しい山容も「若い」の特徴と言えるでしょう。
――若々しい立派な佇まいが、富士山の美しさの理由というのは興味深いですね。でもまだ「若年期」ということはこれからも激しい噴火が起きる可能性は高いということでしょうか? 富士山の噴火って首都含めた大惨事になりそうなので、どんな影響があるのか恐ろしいですが。
石塚:1707年の富士山の噴火では、横浜で15cm近く、東京でも数cm の火山灰が積もったと言われています。