火山灰の分析には、そうした研究者の経験知が欠かせない部分があるんです。

富士山はまだ若い!火山の一生ってどうなっているの?

―― ここまで噴火した後の火山の調査についてはお話を伺いましたが、噴火前の火山の調査というのも行われているんですよね。

石塚:はい、それが私たちの通常業務です。緊急時だけでなく、平常時から火山の状態を調べています。

例えば富士山も、どの時代にどんな噴火があったのか、どこでどういう噴火をしたのかを解明するために、山全体をフィールドワークして、噴火の痕跡を探しています。

―― 調査の仕方は、火山ごとに違うものなんですか?

石塚:火山や対象によって臨機応変に変えていきます。研究者の関心によっても調査の仕方は変わってきます。

ただ共通しているのは、過去の噴火履歴を丁寧に追っていくことですね。噴火の時期や場所、噴火様式などを特定していく地道な作業が基本にあります。

―― 過去の噴火の歴史を紐解くことで、どんなことがわかるんでしょう? 将来の噴火予測にも役立つのでしょうか。

石塚:まさにその通りです。過去の噴火の記録は、将来の活動を予測する上で欠かせません。

でも研究の原点は「なぜこの山ができたのか」という素朴な疑問なんです。知的好奇心を満たすことが出発点で、それを将来予測につなげていく。

若い頃は予測よりも、山の成り立ちそのものに興味があったんですが、年を重ねるにつれ、火山と社会との関わりを意識するようになりました。防災の重要性を認識し、そのために研究をしているという思いが強くなってきましたね。

―― 火山の状態というと、よく活火山とか休火山、死火山みたいな言葉を聞きますが、これってどういう状態と理解すればいいんですか?

石塚:活火山とか休火山、死火山という言葉は、以前は使われていましたが、今は活火山か、そうでない、という分類になっています。

火山の寿命は数十万年と考えられていて、どの段階にあるのか、どういう活動をしているのかは、火山学の大きなテーマです。