次に、火山灰の性質について。マグマ物質が含まれているかどうかで、マグマ噴火なのか、水蒸気噴火なのかの判断をします。
例えば、火山灰に発泡した軽石があるとか、新鮮なガラス片が含まれているといった特徴があれば、マグマ噴火の可能性が高いです。
ただ、こうした判断は簡単にできるものではなくて、火山灰をたくさん見て経験を積まないと、瞬時の判断は難しい。高度な知識と経験が求められる世界だと言えます。
―― 火山灰の分析って、研究者の経験や能力に大きく左右されるんですね。
石塚:そうですね。火山灰の分析は、どうしても属人的になってしまう部分があります。物理学や地球化学の専門家でも、火山灰をあまり見慣れていない人には、判断が難しいかもしれません。
でも最近は、AIを使って火山灰の自動識別を進める研究も始まっています。将来的には、ある程度自動で判別できる時代が来るかもしれませんね。
―― AIで火山灰の分析が自動化されたら、研究の幅も広がりそうですね。
石塚:その通りだと思います。
ただ、最終的な結論を出すには、やはり研究者の判断が必要になるでしょう。
AIには大量のデータを分析させて、こんな感じだというところまで持っていく。その上で、人間の研究者が考察を加えて結論を導き出す。そんな流れになるんじゃないでしょうか。
―― ベテラン刑事の勘みたいなものが大事なんですね。長年の経験から培われた、目利きの力というか。
石塚:そういう面はありますね。火山灰を長く見続けてきた人には、パッと見ただけで「これは」と直感できるものがある。
もちろん、科学的な根拠に基づいた判断であることが大前提ですが、そこに研究者の勘みたいなものが加わることで、より深い考察ができる。