石塚:通常の火山灰の量では、車や機材が簡単に壊れることはありません。

ただし、2000年の有珠山噴火の際は、粘土質の火山灰が大量に降りました。このため車のサスペンションに火山灰が詰まって固まり、ハンドル操作が困難になるなど、怖い思いをしたことがあります。

ただ、桜島のような定常的に噴火している火山の火山灰では、これまで機材が壊れたという経験はありません。

――その他にも火山灰によって困ったことはありましたか?

石塚:私はコンタクトをつけているのですが火山灰の細かい粒子で目がチカチカすることがあります。

調査の際はゴーグルの着用が欠かせません。

――ここまで火山灰の調査について伺いましたが火山ガスの調査についてはいかがでしょうか。ガスは目に見えないのでまた違った危険性があると思います。どのような安全対策を取られているのでしょうか。

石塚:火山ガスの専門家は、防毒マスクなどの保護具を着用し、細心の注意を払って調査しています。

最近では、ドローンなどの無人機を活用することで、危険区域に直接立ち入ることなくガス観測ができるようになってきました。

それでも、調査地点では硫黄臭などガスの存在を感じることはあります。よく勘違いされますが、危険な火山ガスである硫化水素は硫黄臭などなく無臭なので注意が必要です。

まるで探偵!研究者が火山灰からわかること

―― 火山噴火後の動向を探るために火山灰を調べるとありましたが、具体的にはどのようなことがわかるのでしょうか?

例えば、マグマ性なのか、水蒸気爆発なのかというのは、どうやって判断できるんでしょうか。

石塚::まず、火山灰の量についてお話しすると、私たちは火山灰の分布を細かく調べることから始めます。

多くの地点でデータを取り、それを面的に広げていく。そうやって立体的に分布を把握していくんです。それで火山灰の総量を見積もるわけですが、これは警察の捜査にも似ていますね。