表2 業態別の日銀当座預金残高
都市銀行 地方銀行 第二地銀 外国銀行 信託銀行 その他1) その他2) 合計 200兆円 65兆円 10兆円 50兆円 40兆円 111兆円 59兆円 546兆円(出典:日本銀行)
1)ゆうちょ銀行、大手信用金庫(預金残高1,600億円超)、農林中央金庫 2)協同組織金融機関の中央機関、金融商品取引業者、証券金融会社、短資会社等
このうち日銀が預金利息(0.1%)を払ってくれる部分は523兆円である。3月にゼロ金利をやめたことで残高は3.7%の大幅増になった。
日銀から支払われる利息総額は年率換算で1,800億円から5,400億円に、つまり3,600億円増加する。
ゆうちょ銀行をみてみよう。日銀当座預金は59兆円で、国債保有額44兆円より多い(6月末)。日本の国債は格付けも下がったままで、少々リスクなのだから、国に忠実なゆうちょ銀行でもこのシフトは仕方がない。
賢い銀行家なら?あなたが賢い銀行家ならどうするだろう。日銀に預ければ0.1%。預金者に支払うのは0.01%以下(利息ゼロの預金がかなりあるため。利息が払われるのは定期性預金のみだから)。少なくとも0.09%は残る。
貸出に回したらどうなる。日銀に資金移動してもコストはゼロであるが、新規の貸出となれば、与信調査などのコストがかかる。そこで7月の貸付約定金利をみる(表3)。
表3 貸出約定平均金利
都市銀行 地方銀行 第二地銀 信用金庫 短期 0.339% 0.751% 0.823% 1.842% 長期 1.181% 1.003% 1.135% 1.608%出典:日本銀行
ここからコストを引く。さらに考慮すべきはリスクだ。日銀への預金は安全である(今のところ)、しかし貸出にはリスクがある。そのリスクは貸出先の企業サイズにおおむね従う。それが、表に示された都市銀行から信用金庫への金利の高まりに示されている。