Amplitudeの設立当初、デジタル行動分析というカテゴリーは初期段階にあり、当社は草分け的存在でした。顧客はアーリーアダプターで、この分野や技術への精通度と習熟度が高かったのです。こうしたアーリーアダプターは、込み入った複雑なソリューションでも使いこなしていました。

ところが10年後の今、カテゴリーが成熟してくる中で当社が得た気づきなのですが、今日のユーザーにはかつてのような習熟度がない。アーリーアダプターではなく、いわば“一般ユーザー”なのです。彼らのために、より簡単なソリューションが必要だという認識に至ったんです。

たとえば、新規顧客がAmplitudeを導入する際のハードルを下げる必要がありました。Amplitude Made Easyでは、1行のコードだけでAmplitudeを導入して運用することができます。さらに、「Ask Amplitude」という機能も埋め込みました。生成AIインターフェイスに自然言語(簡単な英語)で質問することが可能です。

私自身も含め、テクノロジーに疎い人でも簡単に使いこなせるようになりました。特定のトピックについての考え方や、問題解決が簡単になったのです。

最大の難関は、変革が必要だという「気づき」を得ること

――ユーザーにまったく異なる体験を提供することを目指したそうですが、すでに業績好調で業界トップの企業にとって、こうした変革は困難ではないのでしょうか。
Hansen:実際の作業自体はそこまで大変ではありませんでした。むしろ、最大の難所は「簡素化の必要がある」という結論に至ることのほうだったと思います。

「この市場はアーリーアダプターから現在のメインストリームへとシフトしたんだ」と認識して意思決定をすること。そして、「そうか、もっと簡単にしないと。顧客は技術に精通したアーリーアダプターではなくなった、それほど技術に長けていないこともあるマスマーケットになったのだ」と気づくことです。