市場としてはまだまだ新しいデジタル・アナリティクスの分野で、2012年設立で草分け的存在であるAmplitude。ウェブサイトやアプリにおけるユーザーのクリックやタップといった動作を記録・追跡することで消費者の行動を分析し、インサイトを提供。顧客企業はさらに良い商品・サービスを生み出して消費者体験を改善し、より効率的なマネタイズが可能になるという仕組みだ。
この「行動分析」の需要が世界的に高まっているなか、Amplitudeはいま、日本への投資を拡大している。

Amplitudeは、2019年に日本支社を設立して以来、自社ソリューションの日本語ローカライズを進めてきた。すでに日本でも大企業を顧客に持ち、今年5月にはAmplitudeの日本事業戦略を指揮するとして、仁枝かおり氏が日本カントリー・マネージャーに就任している。

9月12日の日本語リリースでは、同社プラットフォームの大幅な簡素化を発表。多数の新機能を採用し、ユーザーエクスペリエンスを強化した「Amplitude Made Easy」のリリースに合わせ、今回来日したプレジデントのThomas Hansen氏に話を伺うことができた。

同氏は2022年7月にAmplitudeのプレジデントに就任。パートナーシップやマーケティングを含む市場開拓戦略を主導し、国際的な事業拡大を担っている。

日本は「エンジニア魂のある技術中心な国」

――Amplitudeが日本市場への投資を拡大しているのはなぜでしょうか。
Hansen:私が日本市場の重要性を理解したのは、14年間務めたMicrosoft社でグローバルロールに就いていた最後の6年間でした。当時の…今もそうですが、Microsoftにとっての最大のマーケットの一つが日本だったんです。

10年前にMicrosoftを退社して以来、複数の中小企業で働いてきましたが、その間も米国以外では日本を最重要マーケットの一つとして見てきました。Amplitudeに入ってから2年半になりますが、米国以外では最重要マーケットとしてフォーカスしています。

――少子高齢化の状況、そして国際競争力の推移をみても不安を感じずにはいられませんが、日本の市場をどのようにみていますか。
Hansen:成熟度でいえば日本は非常に進んでいる最先端の国・市場です。そして何より、技術力です。経済力とイノベーション、それらの影響力という観点において日本が世界有数の大国であり続ける最大の理由は、おそらくここにあります。