ギンバイカの葉は船型の形状をしており、先端に向けて細くなっています。
しかし研究者たちがよく観察してみると、ギンバイカの葉だと思っていた葉の一部が、B. trifoliolata(ボキラ・トリフォリアータ)と名付けられた「つる植物」から生えていたことに気が付きました。
通常のB. trifoliolataの葉は3つ股に別れた形状をしていることが知られており、ギンバイカの船型の枝分かれの無い葉とは大きく形状が異なります。
そこで研究者たちはその日の探索をB. trifoliolataに集中することにしました。
すると驚くべきことに、発見されたB. trifoliolataの約半分が、巻き付いている宿主の葉や、隣接する植物の葉に似た形状をしていることを発見します。
上の図の黄色の矢印で示したものがB. trifoliolataです。
よく見ると、B. trifoliolataの隣にある植物の葉に似た構造に変化していることがわかります。
擬態の精度はそこまで高くありませんが、単一の植物がここまで多様な葉の形態をとることは驚きです。
そこで研究者たちは、B. trifoliolataには植物特有の単眼を介した視覚システムがあると考え、プラスチックの葉を使った実験を行うことにしました。
もしB. trifoliolataが植物ホルモンをはじめとした生化学的な方法で擬態を行っているのならば人工的なプラスチックの葉を真似ることは不可能なはずです。
無生物のプラスチックは有用な揮発性物質を放出したりしないからです。
一方、B. trifoliolataが視覚的な方法を採用している場合、プラスチックの葉でも問題なく擬態ができるはずです。