「良薬は口に苦し」を「良薬は鼻に辛し」に置きえた新しいプラセボ研究だと言えるでしょう。
カプサイシン入りの点鼻薬による痛みと実験装置による痛みをダブルで経験することになった被験者たちは気の毒ですが、彼らの献身によって人類の医学はまた一歩前進したようです。
平和賞:ミサイルの中にハトを入れて誘導する研究
冷戦時代、米ソ両陣営はミサイルの誘導性能の向上に必死になっていました。
そこでハーバード大学の行動主義心理学者であったバラス・スキナー氏は第二次世界大戦から1950年代にかけて、ハトを使った滑空ミサイルの誘導ができないかを試みていました。
具体的には、ハトを先端に格納したミサイルを飛行機で運び、目標近くで切り離してターゲットに命中させるという構想です。
太平洋戦争では、人間が飛行機の誘導部品として使われる「特攻」が行われていましたが、その役割をハトに任せようというわけです。
実験では60匹のハトに対して標的を認識する訓練を行い、ミサイル弾頭を模した飛翔体の中に入れて誘導できるかどうかが調べられました。
また訓練にあたってはターゲットの画像をつつくとご褒美としてエサがもらえる仕組みを取り入れました。
研究ではエサと学習成績の評価が行われており、麻の種を与えると最も誘導が上手くいく可能性が示されています。
もしこのシステムが第三次世界大戦で使われていれば「平和の象徴」であるハトを搭載したミサイルが戦場を飛び交う地獄絵図がうまれていたでしょう。
植物学賞:一部の植物には視覚があり隣の植物の形状を模倣している
3番目に紹介するのは、植物に視覚がある可能性について言及した「植物学賞」になります。
論文の著者であるジェイコブ・ホワイト氏とフェリペ・ヤマシタ氏は当初、熱帯雨林に生えているギンバイカと呼ばれる低木の研究をしていました。