結果、B. trifoliolataはプラスチックの葉を見事に模倣していることが判明。
研究者たちはB. trifoliolataは近くの植物の葉の形状を視覚的に検知することで模倣を達成していると結論しました。
植物に目のような仕組みがあるとする主張に対して多くの植物学者たちから意義が唱えられていますが、生きていないプラスチック葉の形状を模倣するには、視覚情報以外に説明のしようがないのも事実です。
ただ視覚情報を処理して擬態を達成するには、視覚情報を処理する脳のような複雑な情報処理システムが必須です。
一部の研究者たちは植物の根が神経回路のように情報処理を行っていると主張していますが、詳しいことはわかっていません。
もしB. trifoliolataの模倣の仕組みが視覚的なものであることが実証されれば、イグノーベル賞ではなくノーベル賞が贈られることになるでしょう。
生理学賞:多くの哺乳類は肛門で呼吸できる
医療の現場において、患者の肺に酸素を送り込む「人工呼吸器」は必要不可欠な存在です。
近年では、患者の血液の中に高濃度の酸素を溶け込ませて供給するECMO(エクモ)なども開発されましたが、体への負担が大きく改善の余地がありました。
このような負担を減らすため、日本の東京医科歯科大学と大阪大学で教授を務める武部貴則さんらの研究チームは新たな酸素供給方法として、ドジョウなどが行っている腸呼吸に着目しました。
ドジョウは酸素が少ない環境に置かれると、エラだけでなく腸でも呼吸を始めます。
彼らは酸素不足に反応し、肛門付近の腸組織を変化させることで、効率的に酸素を取り込めるのです。
もし人間でも同じように肛門からの腸に向けての酸素供給が可能であれば、肺と腸の両方での人工呼吸が実現し、患者に対してより効果的に酸素を供給することが可能になります。
そこで研究チームはマウス、ラット、ブタなどの哺乳類における腸呼吸の可能性を探ることにしました。