調査にあたってはまず、動物たちを低酸素状態に置き、次に高濃度の酸素が溶け込んだ液体に体を浸し、肛門から体内に酸素を送り込みました。
するとテストした全ての動物の血中酸素濃度が大幅に増加し、何もしなかった動物と比べて生存時間が数十分単位で伸びていることが確認できました。
研究チームは大量の酸素を解かせるフッ素化合物を利用して、近いうちに臨床試験を行う計画だと述べています。
生物学賞:牛の背に立っている猫の横で紙袋を爆発させる研究
最後に紹介するのは「牛の背に立っている猫の横で紙袋を爆発させる」研究です。
その目的はミルクの噴出量を調べるためでした。
全ての哺乳類において母乳分泌は種の存続にかかわる重要な機能です。
そこで1939年の研究者たちは、母乳が分泌されなくなる条件に恐怖が含まれるかどうかを調べることにしました。
現在では牛でも人間でも安定した精神が母乳分泌において重要であることが常識になっていますが、1939年の段階では学術的な情報が不足していました。
そこで研究者たちは「牛の上に猫を立たせ、紙袋の破裂音を2分10秒ごとに繰り返し聞かせる」という方法で牛に対して恐怖を与えることにしました。
結果、怯えた牛たちはミルクの出が悪くなることが判明しました。
また研究を続けるなかで猫の存在は不要だと判断され処分されました。
牛や猫に対する扱いが酷いと思うかもしれませんが、当時の動物愛護意識はまだ低く、研究者自身が冷酷だったわけではありません。
それに研究の是非を未来人の目から判断することは決して褒められたことではありません。
現在研究者たちが真面目に行っている動物研究の中にも、未来の人々からみて「牛の上に猫を立たせて紙袋を爆発させる」と同レベルと判断されるものが出てくるかもしれないからです。
逆に現代の知識では半分ネタに思われていた研究が、未来では大きな評価を受ける可能性もあります。