2024年は3年ぶりに1万人を超えそうな状況で、経営が悪化する前に構造改革をする例も多い (参照・早期・希望退職を募集する大手企業続出、3年ぶりに1万人超の可能性…黒字のうちに構造改革か 読売新聞オンライン 2024/05/18)。

早期・希望退職募集は日本企業にとっても通例となってきており、終身雇用が保証されているわけではないことがわかる。社員にとってはこれまでのように会社に尽くし続けても、それだけの見返りが得られなくなってきているのだ。

転勤は誰のため?

ここで改めて総合職について考えてみると、募集要項において「転勤ありの管理職候補」とあいまいな説明のみがなされている企業が多い。

この転勤とは、(1)社員のキャリアアップ・スキルアップのための転勤なのか、はたまた(2)空いたポジションをうめるため・企業のオペレーション継続のための転勤なのか。

日本企業で働く会社員は複数の部署に異動した結果、専門性が弱いジェネラリストだと言われて久しい。「お仕事は?」と聞かれて先進国の人が「アカウンタントです」「エンジニアです」と職業を答えるのに対し、多くの日本人が「〇〇に勤めています」と勤め先を答えるのは海外で良く知られている。

この現象を考えると、(2)のケースも少なくないのだろう。

社員とその家族など、リスクをとって転勤を受け入れる当人たちにとって、転勤して数年働いた後に市場価値が上がるような(そうでなくても社内で昇進して給与の増加が約束された)異動なのかは重要だ。

果たしてその転勤は、誰のためのものなのか?

「管理職候補」全員に転勤は必要か?

注意が必要なのが、総合職は「管理職候補」であって「幹部候補」とは言っていない点だ。

多くの日本企業では、幹部(役員)は総合職同士での競争を最後まで勝ち残ったものがなる。

大企業の幹部候補は幅広い分野・地域での経験とリーダーとしての資質が必要だ。しかし、幹部候補が、一般的な管理職候補とスタート時から同じグループに属してゼロからふるいにかけられることには疑問がある。