そればかりか、その後は空前絶後と言われたIBMが1969年に記録した全産業設備投資総額の17%を売り上げるという水準に迫るとまで持ち上げる人たちが多いのです。

ですが、この長期にわたるデータセンター需要の激増というシナリオは、すでに狭隘な電力供給事情によって実現は不可能に近いことが立証されつつあります。

データセンターの激増は電力需給の逼迫で頭打ちに

IBMのメインフレームコンピューターやインターネット送受信の激増に対応した銅ケーブルから光ファイバーケーブルへの切り替えは、全米から先進諸国全域へと急速に広がっていきました。

しかし、現在までのところデータセンター建設需要は全米大都市圏に広がるどころか、バージニア州北部限定で殺到しているのです。

世界一データセンターが密集しているのはシリコンバレーでもニューヨークでもシカゴでもなく、アメリカ連邦政府国防総省やCIAの本庁舎があるバージニア州北部です。

そして、生成AIもふくめてコンピューター機能のレンタルをおこなうクラウド事業で安定的に好収益を上げているのも、データセンターをこの地域に集中配置しているアマゾン1社だけなのです。

そのバージニア州北部での電力供給を主業務としているドミニオン・エナジー社は、上段記事でご覧のとおりこれ以上自社管内でデータセンター建設工事が増えても、送電線網への接続には7年の猶予期間が必要だと警告しています。

たんに送電線網のキャパシティを拡大するだけではなく、電源の確保まで考えると現在まででも最大4年間かかっていた待ち時間が、これからは7年に延びるというのです。生成AIは機能が改良されるごとに電力消費量が機能の改良幅よりはるかに大きく増加してきました。

もし触れこみどおりこれからも生成AIは日進月歩で改良が続くとしたら、待ち時間4年でさえ竣工したばかりのデータセンターが電力キャパシティの制約で型落ちした機器しか使えない可能性が高いし、7年というともう御用済みになっている危険が伴うほど長い期間です。