こんにちは。

アメリカを代表する株価指数、S&P500組み入れ銘柄の時価総額が9月第1週だけで2兆2000億ドル減少しました。

「押し目買い絶好のチャンス」とおっしゃっる勇敢な方々もいらっしゃるようですが、この時点でアメリカ株を買いに入るのは勇敢を通りこして無謀とか、向こう見ずと呼ぶべきでしょう。

今回はなぜ、アメリカ株市場の暴落はまだ始まったばかりで、今後もっとひどい下げ方が続くのか解説しようと思います。

エヌヴィディアの異常な興隆と、待ち受ける悲惨な末路

今年前半のアメリカ株市場の狂乱と言うべき急騰の中心になったのは、マグニフィセント7――アップル、マイクロソフト、エヌヴィディア、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラ――の中でもいちばん新参の成り上がり株、エヌヴィディアでしょう。

その「あれよ、あれよ」と言うまの出世ぶりが、これまでの時価総額最大銘柄とまったく違っていた様子は、次の4枚組グラフが的確に描き出しているとおりです。

上の3枚はこれまでのところ、世界中にたった3社しかない時価総額が3兆ドルを超えた上場企業が、時価総額最大企業になるまでの経路を描いたグラフです。時価総額最大銘柄への道のりは、アップルの場合約20年、マイクロソフトに至っては少なくとも35年かかっています。

そして、なかなか過去の最高値を抜けない苦難の時期もあったことが、アップル、マイクロソフトの時価総額チャートでは、暗い灰色のシェードで示されています。

それに比べて、エヌヴィディアは時価総額がアメリカ株全体の1%の壁を超えてからたった16四半期、つまり丸4年間で時価総額最大銘柄にのし上がってしまったのです。その間、2022年に前年秋につけた過去最高値から6割も下げた時期もあったのですが、今から思えば棒上げ直前に一息入れただけだったように見えます。

下段のグラフは、このエヌヴィディアの時価総額最大銘柄への道がいかに特異なものだったかを示しています。1963年に全上場銘柄時価総額の10%という空前絶後の高い比率でトップにのし上がったGMをふくめて、9社が時価総額最大銘柄になった経験があります。