その中で4年前までは全上場銘柄時価総額の1%にも満たない時価総額からナンバーワンになった企業は、エヌヴィディア以外では、たばこ産業の数社が合併して誕生したアルトリア・グループだけです。

しかも、アルトリアが時価総額首位に立った1990年代前半は、時価総額集中の動きが激しかった第二次世界大戦後の米株市場には珍しく、トップでも全上場銘柄時価総額の2%台半ばというほど、時価総額が分散していた珍しい時期でした。

一方、アップル、マイクロソフト、エヌヴィディアは時価総額集中バブルがピークに達する2023~24年にかけて相次いで時価総額首位に立ったので、3社とも全上場銘柄時価総額の6%以上という高水準を記録しています。

つまり、これまでの時価総額首位企業の中でエヌヴィディアだけが、投機的な個人投資家のおもちゃにされて乱高下をくり返す仕手株の値動きをそのまま続けて、時価総額トップになり上がってしまったのです。このへんの事情を次の図表でお確かめください。

左側のグラフを見ると、金額の目盛りが1ケタか2ケタ小さければ、仕手株がしょっちゅう演じているような時価総額の乱高下を、エヌヴィディアは1000億ドル単位で日常茶飯事のようにくり返していることがわかります。

右側に眼を転じると、これまで1営業日で2000億ドル以上時価総額が縮小した企業は3社しかなく、そのうちメタとアマゾンはマグニフィセント7に入っているとは言え、時価総額首位銘柄にはなったことのない企業です。

唯一エヌヴィディアだけが時価総額トップ銘柄になった経験を持ちながら、1営業日で2000億ドル以上時価総額が縮小した経験を持ち、しかもその回数は5回に達しています。さらに、時価総額減少額トップ10を見ると、そのうち8つはエヌヴィディアが占めています。

また、2024年7月17日から9月3日までの49日間に6回、エヌヴィディアは1営業日での時価総額減少額ワースト10に入る巨額の減少を経験しています。(表の中でえんじ色に変えた項目です。)