そして、下段が示すとおり、2023年まで異常なほど大きく伸びていたアメリカの工場建築需要の大半は、本来工場建築の中のごく小さな1分野に過ぎなかったコンピューター・電子・電気機器関連の工場建築だったのです。

そのコンピューター・電子・電気機器関連工場建築の中のさらに小さな分野に過ぎなかったデータセンターの着工総額が、次の2段組グラフ上段では2024年には年率換算で250億ドルに達したことになっています。

ただ、先ほどご覧いただいたグラフでは2023年まで激増していたコンピューター・電子・電気機器関連工場建築着工額は2024年にはかなり鋭い減少局面に入っていますから、おそらくこちらのグラフは勇み足で、データセンター建設需要もすでに減少に転じているのではないでしょうか。

下段に眼を転じると、世界各国のデータセンター数を比較した場合、アメリカだけが突出して大きいことがわかります。私が知っているかぎり、このようなパターンのグラフは他にはたったひとつしかありません。それはアメリカと他の主要国との国防予算比較です。

この事実から、私はデータセンター事業はあまり儲かる仕事ではなく、バージニア州北部にデータセンターを集中立地させたアマゾンがこの事業で儲けているのはデータセンター自体より、有力顧客の国防総省やCIAに自社しか持っていない情報を売って儲けているのではないかと推測しています。

この論点は、今年7月12日付の当ブログへの投稿「生成AIをめぐるもうひとつの循環取引疑惑」で取り上げましたので、ぜひお読みください。

なぜ世界中でデータセンター需要が激増しないかというと、データセンター、とくに生成AIモデルを採用したデータセンターは凄まじい量の電力を消費するからです。

左側はハイテク大手各社の電力消費量、右側は世界中のデータセンター全体の電力消費量をさまざまな国の電力消費量と比較したグラフです。