メインフレームコンピューター導入時や、通信回線網を使わなければできない送受信から、だいたいインターネットでつながる送受信への変化に比べることができる画期的な変化がいったいどこで起きているのでしょうか?

もちろん、何十人、何百人(ひょっとして何千人?)の人たちが「エヌヴィディアの造るGPUを使ってオープンAIなどが開発した生成AIを利用すれば画期的に業務効率が改善する」とか「すでに生産性は上がっている」と主張しています。

しかし、そうした擁護論を裏付けるような具体的データはほとんどありません。ほとんどと言うのは、上場大手企業の中でウォルマートだけは年次報告書に以下のように明記しているからです。

「 グループ全体で2億5000万点に達する商品のカタログ掲載について、重複記載を省き、呼称を統一し、適切な位置に配置するといった管理作業が迅速におこなえた。同じ期間内に生成AI抜きでやろうとしたら、カタログ管理要員を100倍に増やす必要があっただろう」

しかし、これは英語の慣用句でdamning with a faint praise(中途半端な褒めことばは、けなしているも同然)という 表現のとおり、生成AIが実際には単純作業のくり返し程度にしか使えない道具だと割り切った上でのコメントでしょう。

とにかくハイテク大手、とくにマグニフィセント7の設備投資額は、使途も定かでないままに異常なほど激増を続けたことになっているのです。

上段は一見増えたり減ったりのようですが、季節変動の大きい変数なので前年同期比で見ると確実に増えています。直近2024年第2四半期の総額は450億ドルに迫り、2020年第2四半期の200億弱に比べて、2倍をかなり上回る数字です。

またこの7社の中では世界中に配送網を張り巡らす出費が大きかったアマゾンが、終始大きな比率を占めているものの年によって上下動があるのに対して、これまで業容の大きさに比べて設備投資額が小さかったマイクロソフトが急激に設備投資を拡大しています。