ただ、2024年に締めた年度の総売上が前年度比109%増でやっと15億ドルという小さなコンピュータ関連企業です。
その小さな企業に対する売上が、もし2024年1月に締めた年度の総売上609億ドルの8.62%に達していたとすれば、約52億5000万ドル分の製品・サービスをエヌヴィディアから買っていたことになります。
はるかに小さかった2023年1月に締めた年度の総売上270億ドルの8.62%だったとしても23億ドルと自社の総売上を大きく上回る金額です。
技術進歩の大きなコンピューター関連機器や部品については、最大に見ても償却年限はほぼ4年と言われています。その業界で自社の総売上をはるかに上回る「設備投資」をしているとすれば、企業として自殺行為か架空売上か、それ以外の解釈はあり得ないでしょう。
もちろんエヌヴィディアから買ったGPUなどを自社製品の部品としてほぼ毎年使いきっているとしたら、大変な赤字経営をしているはずです。さらに問題なのは、このスーパー・マイクロ・コンピューターは「エヌヴィディア一家」にとって清水一家の大政のような存在だということです。
たとえばGPUを組みこんだ機器の周辺インフラとして構築したCUDA(GPU向け並列コンピューティング・プラットフォーム)の解説を、自社が宣伝したのでは説得力がないと思ったのか、スーパー・マイクロ・コンピューター社のホームページに掲載させています。
その文章をすなおに読むと、どうしてもエヌヴィディア製のGPUでなければCUDAをうまく運用できない機能的な制約があるわけではなく、ようするにエヌヴィディア製GPUを買わせるためにCUDAはエヌヴィディア製GPUでしか動かないように設計していると読めてしまうのです。
これはGPU市場における独占禁止法違反の容疑でエヌヴィディアが取り調べられる際には、かなり大きな争点になる文章でしょう。次の図表の上半分です。