ここでの「社会支出」とは、日本も順守しているOECD基準でいえば、高齢(老齢年金)、遺族(遺族年金)、障害・業務災害・傷病(障害年金、障害者自立支援給付、労災保険等)、保健(医療保険、公費負担医療、介護保険等)、家族(児童手当、児童扶養手当、施設等給付、育児・介護休業給付等)、積極的労働市場政策(教育訓練給付、雇用調整助成金等)、失業(求職者給付、求職者支援制度等)、住宅(住宅扶助等)、その他(生活扶助、生業扶助、災害救助費等)の9分野に分けられる。
日本での「社会支出」(OECD基準)日本での「社会支出」(OECD基準)は表2のようにまとめられる。
表2 日本の社会支出(OECD基準)
年度 2018年度 2020年度 2022年度 総額(億円) 1,254,813 1,363,550 1,423,215 対GDP比(%) 22.55 25.30 25.12 一人当たり(千円) 992.4 1,080.9 1,139.1出典:国立社会保障・人口問題研究所,2024:1.
すなわち、2018年度、2020年度、2022年度のデータからは、その総額は125兆4813億円から142兆3215億円へと急増している。またそれがGDPに占める比率も22.55%から25.12%へと上昇した。
さらにゼロ歳から百歳までのすべての日本国民一人当たりの支出でも、それが99万2400円であった時代から113万9100円へと増加した。
「社会保障給付費」(ILO基準)ただ日本では、これらの「社会支出」(OECD基準)とともに、「社会保障給付費」(ILO基準)が併用されてきた。両者の関係は、「社会保障給付費」と比べ、「社会支出」は施設整備費など直接個人には帰着されない支出まで集計範囲に含んでいる」(国立社会保障・人口問題研究所編,前掲書:1)。
この定義により、「社会支出」の総額がいつの時代でも「社会保障給付費」を越えることになる。このように集計方法の違いが「社会支出」と「社会保障給付費」間には認められるが、両者の重なり合う部分はもちろん大きい。