第2位が「高齢」の48兆9733億円、第3位が「家族」の11兆2086億円になった。このうち「保健」は医療保険と介護保険を含むので、文字通り全国民に対する支出であり、「高齢」は65歳からの「年金」総額を含んでいる。

また「家族」ではこれまで少子化対策の要となってきた「児童手当」「児童扶養手当」「育児・介護休業給付」が含まれているので、少子化が進み、同時に高齢化が顕著になれば、支出総額もまた増大する。

政策分野別社会支出の国際比較(対GDP比)

図1では日本の「社会支出」をOECD加盟国のいくつかの国と比較した。

図1 政策分野別社会支出の国際比較(対GDP比) 出典:国立社会保障・人口問題研究所編,2024:8.

比較した6カ国とも共通して、対GDP比の比率が高いのは「保健」と「高齢」であった。このうち、「保健」>「高齢」であった国は、日本、アメリカ、イギリスの3か国であり、「保健」<「高齢」だったのは、ドイツ、フランス、スウェーデンであった。

「社会支出」の比較の結果

その他顕著な点として、社会支出(対GDP比)が高い国はフランス(34.88%)とアメリカ(29.67%)そしてドイツ(28.44%)であったことが指摘できる。反面、スウェーデン(25.47%)と日本(25.30%)と同じグループになることが分かった。なお、イギリスのデータは参考扱いなのでここには含めない。

「社会支出」の内訳の特徴としては、国民全員が健康保険ないしは医療保険に加入していないアメリカでの「保健」(15.78%)が際立っている。また、フランスとドイツの「失業」に関する社会支出(対GDP比)の多さも目立つ。

家族への支出が少ないアメリカ

家族への支出でいえば、スウェーデン(3.42%)やフランス(2.93%)そしてドイツ(2.76%)が多い方のグループになり、それより低い日本(2.00%)に比べても、アメリカ(0.67%)は非常に少ないという結果になった。