注5)ここでの「福祉国家」はもちろん‘welfare state’が意識されている。
注6)21世紀の今日でも少数派ではあるが、「社会国家」と「福祉国家」を互換的に使用する社会学者も登場した(落合、2023)。
注7)これはもちろんマッキーヴァーによるコミュニティ(地域社会)とアソシエーション(組織)から派生する考え方である(マッキーヴァー、1917=1975)。
注8)ピケティの「社会国家」(État social)はハーバード大学出版会からの英訳ではsocial stateとされたが、翻訳ではともかく、この表現が福祉国家(welfare state)と同じ意味で使われるとは考えられない。
注9)アメリカ社会の「分断」は、人種や民族それに階級・階層が絡み合うアイデンティティレベルの問題と「新旧の断層線」による(ハンチントン、2004=2004)。
注10)「社会国家」(social state)と「福祉国家」(welfare state)をめぐるピケティとバウマンの異質性は明らかだが、フランス語からの英訳でも英語だけでも多様な意味が両者に込められているので、日本語として「社会国家」の使用は差し控えたいというのが私の判断である。