敵勢が唖然とする中、巴は武具を脱ぎ捨て、後を振り返ることもなく一散に東国(あづまのくに、現代の関東地方)の方角へと走り去ったのです。
巴が去った後、義仲は兼平と2人だけになってしまい、ついには敵の矢に射抜かれて命を落としました。
享年31歳でした。
主君の最後を見届けた兼平も後を追うように自害したと伝えられています。
これが『平家物語』で語られる巴御前についてのすべてです。
その後、彼女がどうなったかは詳しく語られていません。
異本の中では、越後国(現在の新潟県)に移り住んで尼となり、91歳まで長生きしたとの説もあります。
巴御前については『平家物語』にしか登場しないため、「本当に実在したのか」「創作された人物の一人ではないのか」との専門家の意見もたくさんあります。
確かにフィクションとして脚色をしていることは間違いないでしょう。
しかし主君に最後まで寄り添い、平安の乱世を生き抜いた一人の女武者が実在したことは信じたいところです。
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参考文献
Tomoe Gozen – A fearsome Japanese Female Warrior of the 12th Century
https://www.ancient-origins.net/history-famous-people/tomoe-gozen-fearsome-japanese-female-warrior-12th-century-002974
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部