注3)日銀総裁が就任した時のいきさつについては最近、出版された書物が詳しい。川浪武史『日本銀行 虚像と実像 検証25年緩和』(2024年、日経BP 日本経済新聞社)。

興味深い一節を引用しよう。

「植田氏はいったん自宅に入ったものの、傘で雨を避けながら改めてメディアの短い取材に応じた」。そして「現状では金融緩和の継続が必要であると考えています」と言った(同書、p.33)。

この発言は、著者によれば、「官邸や日銀が事前に植田氏とすり合わせて」決めていた。就任以来、何を言うのか監視されていた総裁が、一年半経過してようやく自由に発言した、それが「金利のある時代」だったのかもしれない。総裁は、学者らしく、「警戒心」のない人、それだけに本音が時に失言となる。気の毒なことだ。

注4)株価の変動幅を示す指標としてVIXがある。これは恐慌指数とも呼ばれているが、カジノ化を示す指標でもある。8月の暴落・暴騰で60超に一時的に上昇した。その後も、警戒水準とされる20の上にある。

カジノ化は進展した。日本のVIXはアメリカのそれに比べても以上に高い。本稿がリリースされた9月4日、前場だけで1500円近い変動が(下げ)があった。VIXは高いままのようだ。

図4 VIXの動き出典:日本経済新聞(2024年8月22日)

注5)濱田康行・川島一郎、「NYダウ平均株価3万ドルの方程式」、『地域経済経営ネットワーク研究センター年報』(北海道大学大学院経済学研究院地域経済経営ネットワーク研究センター)、第10号、2021年。

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