ビジネス
2024/09/06
【フィンランド現地レポ】創業者は元“鍵屋”、バッテリー不要のスマートキーを開発したiLOQを取材|入退室時の鍵交換不要、不動産オーナーの利便性向上へ
古くて無駄の多いロックシステムを変えたいという強い思い
――会社の歴史について教えてください。
Ainali:iLOQの創業者Mika Pukari氏は、もともと鍵屋を営んでいました。鍵と錠前を管理するには、物理的な鍵とロックシリンダーが必要で、たとえば管理人が持っているマスターキーなどの鍵を紛失すると、最悪の場合、すべてを交換しなければなりません。1990年代後半にデジタル・ロック式のものが市場に出てきましたが、電池代が高く、定期的な電池交換などのメンテナンスが必要で、使い捨ての電池が無駄になるという問題がありました。
オートメーション・エンジニアとして働いていたPukari氏は、電源を必要としないプログラム可能なロックシリンダーを作ることはできないかと考え始め、オウル大学との共同研究を開始しました。4年にわたる共同研究の末、2007年に世界初の電池不要・ワイヤレス・ロックシステム、iLOQ S10が発売されました。
このシステムは、鍵をロックへ差し込んだときに発生する運動エネルギーによってロックシリンダーを作動させるように設計されています。そのため電池を交換する必要がなく、メンテナンスを含めたシステム全体のコストが大幅に削減されることになりました。これは、電池を使用するシステムと比較して、現在の顧客ベースで年間約10万kgの電池廃棄量が削減される計算になります。
年間10万kgの電池廃棄量を削減、IoTで施錠システムを管理
Ainali:2016年発売のiLOQ S50は、NFC対応のモバイルアクセス技術を使い、スマホを鍵代わりに使うことができるようになります。開錠に必要なエネルギーは、スマホから取り込むことが可能です。
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