スマホがカギ代わりに。アクセス変更などの管理も随時可能(iLOQ社提供)

そして2019年にiLOQ S10のメカニズムにIoTを組み合わせたiLOQ S5が発売され、翌2020年には複数の施錠システムを管理できるプラットフォーム、2022年には住宅用プラットフォーム「iLOQ HOME」が発売されました。

これまでのように鍵と錠前を物理的に変更することなく、大規模なシステムや個々のロックへのアクセス権を簡単に設定できるようになったのです。ユーザーは専用クラウド上で実行されるソフトウェアを使用して、施設全体とそのアクセスポイントをリアルタイムで制御可能。たとえキーを失くしてしまっても、システム上で再プログラムするだけで安全性を担保できます。

iLOQの製品ラインナップを説明してくれたAinali 氏(筆者提供)

じつは筆者もiLOQ S10の鍵を持っている。差し込み部分が他の鍵に比べて多少複雑だと感じてはいたが、バッテリーフリーのロックシリンダー技術については今回の取材まで知らなかった。鍵を差し込む際は、しっかり噛み合うようにゆっくり差し込むようにしている。オフィス用の鍵だが、アクセス権やセキュリティ番号などの設定がオフィスビルの受付で簡単にできる。その場で鍵の設定や変更ができるのは、利用者・管理者にとっても大きなメリットだ。

筆者も愛用するiLOQ。デジタルなので、変更が簡単だ(筆者提供)

信頼関係があるからこそエンジニア同士のぶつかりあいも

――iLOQには世界初の技術がいくつもあると伺いました。技術やソリューションはどこから生まれるのでしょうか。

Ainali:iLOQの技術には300以上の特許があり、製品開発や事業の進め方はスタッフが一緒になって考えます。専門家には自分の意見にプライドを持っている人が多いのですが、信頼関係が成り立っているからこそ、誰もが自由に意見を出し合い、人の意見を聞き入れることができるのです。弊社の社員がこのオフィスで働くことに喜びを感じ、毎日出社してきてくれることはとても喜ばしいことです。