5月のSusHi Tech Tokyo 2024に参加した際のPéterさん。Image Credits:greehill(同社LinkedInより)

ですので、サービスの存在や効果について広く知ってもらうことは非常に重要です。振り返ってみると、ほんの数年前までシンガポール国立公園局が初めてにして唯一の顧客という状況でした。それが翌年には、世界各地に顧客数10に増えていたんです。昨年は顧客数が100に到達しました。急速に拡大はしていますが、まだまだ新しいサービスです。知らない人がいても驚きはしませんが、とにかく存在を知ってほしいですね。

都市林の効果を知ることと、知らせることが重要

――御社ソリューションは基本的にB2Gですが、導入を希望する一般市民はどうしたらよいですか?
Péter:街路樹から得られる効果や恩恵について関心を高めることが重要でしょうね。都市部の木々は街や公園を美しく見せる「装飾品」でしかない、と多くの人が誤解しているからです。木々の持つ効果を知らなければ、自分のレストランの前にある邪魔な木を伐採してテーブルを増やそう、といった考えにもなります。

Image Credits:greehill

知らないことで非難はできません。だからこそ教育が必要なのです。また、都市をはじめ自治体の側も教育が必要です。当社の分野ではありませんが、さまざまなカンファレンスが開催されて既存の街路環境をどうすべきか、さまざまな取り組みが進められていると思います。

シンガポールのように日陰だけを選んで歩ける街は不可能ではありません。ただし、とにかく始める必要があります。当社やあなたのように皆が少しずつ努力すれば、きっと実現できると確信しています。

(取材・文:Techable編集部)

【取材を終えて】

Péterさんは、都市林のパフォーマンスを増強するのではなく単に「維持」したい場合にも数字を示す必要があると語っていた。樹齢数十年の木々を伐採する開発事業では、伐採した樹木の本数以上を植樹しないとそれまでと同じパフォーマンスは維持できないそうだ。たとえば樹齢5年の若木であれば、大量に植えないと樹齢20~50年の木々の代わりにはならない。