ここ数年、日本でも猛暑・熱中症対策として「日陰ルート」を案内してくれる地図アプリが登場している。「日陰を持ち歩く」として高機能な日傘も、いまや老若男女を問わず必須アイテムとなった。

一方で、もともと街路樹が充実した樹冠被覆率(土地の面積に対する樹冠の割合)の高い都市では、日陰を辿る移動は“当たり前”のこと。現在、各国の主要都市ではこの樹冠被覆率を上げようという取り組みが活発に行われている。この分野で世界トップクラスに位置するのがシンガポールだ。

Image Credits:Treepedia

「アジアの庭園都市」を名乗るシンガポールは、TreepediaによるGVI(グリーンビュー指数)が29.3%。このデータがある17都市で首位に立っている。

庭園都市シンガポール発のgreehill、都市林管理をDX

そんなシンガポール発のスタートアップが、世界各地の都市で緑化計画に貢献している。「スマートツリーインベントリ」で街路樹・公園樹の管理をデジタル化するgreehillだ。同社のアーバンフォレスト(都市林)管理システムは、街路樹や公園樹をLiDARでスキャンしてデジタル化し、効率的な管理と保全を可能にするもの。樹冠被覆率を最大化しながら、街路樹の維持費を最小化する。

Image Credits:Greehill(同社LinkedInより)

パリ五輪開催に先立ち、同社はフランスの複数都市でも都市林のスキャン作業を行った。「Paris Tree Plan」に取り組むパリ市は2026年までに17万本の樹木を植える予定で、2030年までに「ヨーロッパで最もグリーンな都市」を目指しているのだ。

2017年設立のgreehillは、現在シンガポール本社以外にブダペスト、ベルリン、パリ、サンフランシスコに拠点を構える国際企業。アジア太平洋地区事業の統括であるPéter Sasi氏にインタビューを行い、同社のソリューションや日本の状況について話を伺った。