ビジネス
2024/08/25
【インタビュー】「東京の樹冠被覆率は今の3倍が望ましい」 日陰ルートがデフォの庭園都市シンガポール発企業、DXとAIでグリーンインフラ構築
樹冠率を最速で効率的に改善するソリューション
――今年の5月に東京や福岡を訪問されましたよね。日本の都市の街路樹や樹冠被覆率についてどんな印象を受けましたか?
Péter:初めに言っておくと、私は日本の皆さんが自然を愛して大切にしていることを、素晴らしいと思っています。緑豊かで美しい庭園の数々を丹精込めて作り上げていますよね。ただ、その一方でどうしても…特に街路樹についての質問にお答えすると、アジア太平洋地域各国の状況を知る統括責任者としては、日本の街路樹の数量・樹冠被覆率・葉面積は、ちょっと驚くほど低いと言わざるを得ません。
じつは、有名ラーメン店に行ったのですが店の前の通りに40分も行列しまして。ほんの少しでも日陰があったら、もう少し何とかなったのでしょうが…シンガポールでは、ほとんど日陰だけを歩いて移動できます。十分な樹冠被覆率があれば、目的地までの「完全日陰ルート」を選べるのです。
――東京都内で国道の街路樹を撮ってみました。剪定されてほとんど幹だけになっていて、日陰が少ししかないんです…
Péter:(笑)まさに、この状態の木についてもお話ししたかったんです。地震や台風の多い日本では、安全確保が重要なことは理解しています。ですが、定期的な剪定によってほとんどすべての葉、枝・小枝が限界まで刈り込まれていますよね。この木がかろうじて生存できる最低限の状態です。
安全かもしれませんが、生態系サービスにとっては確実にマイナスですし、この木自体にも良くありません。さらに、生態系パフォーマンスの効果が得られないので住民にとっても良くないですね。当社のハイテクツールがあれば、街路樹をスキャンして安全性と樹冠の適切なバランスを突き止めることができます。
――動画を見ました。グーグルストリートビューの撮影車のように、専用車で走って街路樹を撮影して、その情報から「デジタルツイン」を作るんですよね。
Péter:はい。樹冠のサイズや形、構造を把握して、安全の範囲に収まりながらも生態系パフォーマンスや冷却効果、大気汚染のフィルタリング効果、CO2隔離の大幅な向上が見込める状態を突き止めるのです。当社がUrban Insightsと共に生み出した「Smart Tree Inventory」は、まさにこのためのツールです。
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