コンサルではこの問題を解決できなくて、何が良いかなと思っているときに、ある投資家の方に、「お前が日本で一番授乳室を知っているんだろう、作ればいいじゃん」みたいなことを言われて、「たしかに俺が作ったらどうなるんだろう」と、その瞬間から考え始めました。

まず施設側はそんなにスペースがないと言っているので、よりコンパクトなものが良いんじゃないかと。今まではレイアウト変更のために、毎回壊して、また作ってまたお金がかかるということをやられているので、じゃあ移動式にしようかなと。あと、ユーザー側からは鍵をかけられる個室が良いというニーズがあるのに、叶えられている授乳室がほぼなかったんで、鍵付き個室にするか、とかも。


mamaroの内部

完成した(ベビーケアルームの)スケッチを前回断られた某百貨店に見せに行ったんですよ。そしたら、「これめっちゃ良いじゃん」という風に言ってくださったんです。3社中3社が良いじゃんって言ってくれたので、3分の3は100パーだろうということで(笑)、これは事業化したいと思って、ピッチをして資金調達したって感じですね。

(完成してからは)それまで相談させていただいていた、いろいろな企業さんに連絡を入れました。新店舗に置かせていただいたりとか、京急電鉄の方からご紹介されたところに置かせてもらったりとか。


導入数は増え続け、現在は700台に

Pay it forward

ーーー日本は少子高齢化が進んでいて、子育て支援ビジネスって難しいんじゃないかとも思ったんですけど、長谷川さんのお考えを教えていただけますか。

子育て支援ビジネスはもうからないから老人から中高年向けのサービスだけやろうとなったら、多分この国は本当に衰退していくなと強く感じています。

我々の会社の1番最初のミッションを「Pay it forward(自分が受けた善意を別の誰かに渡すことで、善意をつないでいくこと)」って言葉にしていたんですね。次の世代がさらに快適になっていくことで、どんどん社会って更新していくんじゃないかなと思います。