いま思うと失敗なんですけど、当時は、すごく奇特なメディアになるんじゃないかと思ったんですよ。既存のインプレッション課金ではない広告モデルが作れるんじゃないかと考えていて。

子どもが生まれると、家を買うとか、車を買い替えるとか生活様式が大きく変わるので、消費財含めて全てのものを売るチャンスなんですよね。

子どもが生まれたばかりのお母さんは特に忙しいですが、子ども向けアプリってそれだけのために開くので、すごく親和性が良いですし、99%子育て中の方が使ってくれるというのは面白い媒体になるのではないかと。

ーーーアプリ運営はどのくらい続けてらっしゃったんですか?

アプリは名前を変えていますが、機能としては今でもあります。ただ、(起業して)1年後ぐらいに、このサービスを主力事業としない判断をしました。

なかなか広告としてのビジネスが立ち上がらなかったんですが、サーバー代だけはどんどんかさんでいっていたので、当初の目論見がシンプルに外れた形ですね。

それと同時に、そのとき悩みがあって。(アプリへの)アクセス数とかは変わっていないのに、一時から授乳室の投稿数が増えなくなっちゃったんですよ。

そこで、「一定の授乳室を取り切っちゃったんじゃないかな」と仮説を立てたのがアプリ上での授乳室数が1万8,000ぐらいのとき。当時はまだ100万人ぐらい子どもが生まれていたので、(割合としては)1.8%です。

日本の場合、公衆トイレの数が人口の2倍以上あると以前何かで目にしたことがあって、かたや200%、かたや1.8%なので、圧倒的に数が足りないと気づきました。

「そりゃそうだよね」と。だって、我々のアプリって、授乳室がどこにあるのか分からないくらい数が少ないから使ってもらっていて。むしろ、そんなアプリを使わなくても、どこにでも授乳室があったら困らない。これが問題解決のポイントなんじゃないかと思い始めたんですよね。