ですから、今後日銀が保有している日本国債の償還期限が来るたびに、その国債を無利子の永久債に買い替えることにしても、日銀も財務省もまったく困りません。

償還期限のない永久債なら、保有している国債の値動きによって日銀に含み損が発生することもありません。現在の日銀保有高を超えて同じ手を使ってはいけないと釘を刺しておけば、日銀保有国債の無利子永久債化によって過大な国家債務問題は解決します。

日本の技術水準は世界一

「とにかく欧米はすばらしくて、日本はダメだ」という議論の中で、私にとっていちばん不可解なのは、日本の技術水準がどんどん劣化していて、それに比べて欧米諸国や中国、韓国はどんどん進んでいるというものです。

いったいどんなところでダメなのかを聞くと、再生可能エネルギーとか、EV(電気自動車)とか、生成AIとか、半導体とか遅れていて大助かりといった分野ばかりです。この中で異論をお持ちの方がいちばん多いのは半導体でしょう。

でも、だいたいにおいて「〇〇こそ現代産業のコメだ」といった陳腐な表現で存在理由を誇示するようになったら、終わっているものです。今や半導体産業の超微細化技術はエネルギー効率においても採算性においても、進めば進むほど実用性が乏しくなる段階に来ています。

実際に応用すれば儲かる技術において日本の突出した優位はまったく揺らいでいません。たとえば、次の2段組グラフをご覧ください。上段はさまざまな属性でグループ分けした国々について、下段は国別に人口100万人当たりの特許出願件数を示すグラフです。

上段ではG7諸国が突出して出願件数が多いように見えます。ところが下段を見るとその突出を支えていたのはほぼ日本1国だけで、G7の中では日本に次いで出願件数の多いアメリカでさえ、国別順位は日本の約2800件、韓国の約2200件に大差をつけられた約600件の3位に過ぎないことがわかります。