政治
女性を取り巻く労働環境の劣悪さ
2024/08/19
日本はこれからどうなるのか?
円安・インフレが勤労者から企業への所得移転をもたらしていることは、間違いありません。ですが、日本の勤労所得の低さにはもうひとつ大きな要因が関わっていると思います。
それは、女性の就労環境がひどすぎることです。まず次の2枚組グラフをご覧ください。
左側は、女性の年齢層別年収分布を日本とスウェーデンで比較したグラフです。
スウェーデンでは20代を過ぎると女性で年収が下位25%未満にの人たちはだいたい10~20%しかいないのに、日本では全年齢層で5割を超え、20代前半と50代後半では全体の7割以上が下位25%未満の収入しか得ていません。
右側に眼を転じると、ここに収録された41ヵ国の中で妻の年収が夫と同じかそれ以上というカップルの比率は日本が最下位で5.6%しかいません。下から2番目のトルコと3番目のフィリピンが10%台で、それ以上はすべて少なくとも4分の1以上が妻の年収が夫の年収と同じかそれ以上となっています。
日本の実質賃金上昇率の低さ(というか、最近では下落率の高さと言ったほうが適切かもしれませんが)には、女性の就労環境があまりにもひどいことが一因となっているのではないでしょうか。
また女性にとって職業選択の自由が空文化していることは次のグラフにも鮮明に表れています。
こちらはOECD諸国の女性研究者比率の比較で、日本は13.0%でまたしても最下位です。日本は世界でも有数の4年制大学を卒業した女性の多い国です。また入試で男子に下駄を履かせないと定員のほとんどが女子で占められてしまうほど成績も優秀なのです。
それなのに、夫と同等以上の年収の妻がたった5.6%とか、女性研究者比率が13.0%というのは、屈辱的な数字です。第二次世界大戦後かなり長期にわたって「世界中どこでも女性の労働力参加率は結婚から子育て期に下がってM字型になるけれども、日本の場合その底が非常に深い」と言い慣わされてきました。
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