世界4大経済圏の製造業付加価値に占める革新的な付加価値の比率を比較したものですが、一貫して50%弱の日本が独走しています。

2位はだいたい35%強を維持してきたEU、3位は2015年に30%ちょうどで出発して、2023年には33%に上がった中国、そしてビリが33%から出発して32%に下がったアメリカです。

始めは独創的な企業でもガリバー型寡占になったあとは政治家を動かして自社に有利な法律制度をつくらせて安定して「高収益」をあげている実情を知っている私としてはなんの驚きもありません。

ですが「アメリカはハイテク大手が次々に画期的な新製品を創出する科学技術大国」といった神話をいまだに信じていらっしゃる方々にとっては眼を疑うような惨状でしょう。

下段は先ほどもちらっと触れた取得特許の実用性を非常にわかりやすく図示したグラフになっています。本当に実用性の高い特許はアメリカ、ヨーロッパ、日本の3大商圏すべてで特許を取れることが多いようですが、ここでも日本が突出しています。

2010年までは韓国もなんとか追いすがろうとしていたようですが、2022年には諦めたらしく少し下がっています。それ以外の国々ははるか下に位置していて、アメリカ、ドイツ、フランスの3ヵ国がやはり2010年に比べて2022年の実績が落ちています。

最新分野のAI関連ではどうか?

「それでもやっぱり、先端分野での研究開発投資は欧米のほうが上でしょう」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。たしかにこうした大勢の方々が将来非常に大きく成長する分野と期待している分野での日本企業の投資実績はパッとしません。

上段はAI関連ソフトウェア、下段は同じくハードウェアへの研究開発投資実績ですが、どちらもアメリカが急激に投下資金を増やし、カナダがその半分程度の伸び、イギリスも多少は伸びていますが、日本はほぼ横ばいです。

ここに中国が割りこんできたらどうだろうかと言うと、おそらくかなり大幅に増やしていて、ひょっとするとアメリカより伸び率が高いかもしれません。というのも、次の2段組グラフ上段のように、中国はAI関連特許取得件数シェアで断トツの首位だからです。