このとき縦揺れの光を「0」で横揺れの光を「1」となるようにお互いに取り決めて於けば、文字数と同じ1440対の量子もつれを消費して、上の図のようなアスキーアートを送ることが可能になります。
(※ズレのない時計や乗員の生命維持などのその他の問題はクリアされているとします)
2隻の宇宙船は10万光年も離れていますが、A号からB号へのハートマークの転送は量子もつれの性質を利用して瞬時に行うことが可能です。
0と1の組み合わせにモールツ信号のような意味を持たせれば、量子もつれのペアが枯渇するまで、文章のやり取りも可能になります。
ただあくまでこの超高速通信には「疑似的」という接頭語がつきます。
というのも2隻の宇宙船はハートマークを送る前に、地球で量子もつれのペアを分け合い、その後50万年の時間が経過しています。
そのためプロセス全体からみれば、ハートマークを送るのに50万年かかったと見ることもできます。
10万光年の距離を50万年かけてハートマークが送られたと考えれば、情報伝達プロセス全体からみて光速は超えておらず、アインシュタインの相対性理論にも反していないことになります。
しかし部分的にみれば疑似的な超光速通信が成り立っているかのような現象がみられるのです。
そこで今回、シカゴ大学の研究者たちは、この超光速通信の蜃気楼の仕組みを使用して、株式市場における情報伝達の優位性を獲得する方法を考案しました。
疑似的な超光速通信で株式市場を支配する
20世紀の古い株式市場の映像をみると、多くの人々が複雑なジェスチャーをとりながら、株の売買を行っている様子がうかがえます。
コンピューターが普及していない頃の現場での株の売買は「人力」であり、値動きの概要も黒板に記される形式をとっていました。
ですがコンピューターとインターネットの普及により、取引はデジタルなものになり、衛星や海底ケーブルを使うことで、情報の伝達速度だけならば光速に迫るようになってきました。