画像情報を物理的に送信せず「テレポート」させることに成功!

たとえば一方が縦揺れの光でもう一方が横揺れの光というもつれ状態にある光子対に対して、絶対に縦揺れしか観測されないような恣意的な観測を、もつれが壊れないギリギリの強さで行うといった方法です。

こうすると、もう一方の相方の粒子が観測された場合、横揺れの光として観測される確率を高めることが可能になります。

まるで八百長のような観測ですが、量子力学的にはアリなのです。

そしてこの方法を利用することで、疑似的な超光速通信も可能になります。

疑似的な超高速通信が可能になる仕組みを宇宙船で解説
疑似的な超高速通信が可能になる仕組みを宇宙船で解説 / Credit:Canva

以下は地球から銀河の別々の端と端に向かう宇宙船を使った疑似的な超光速通信の例を示します。

一方の宇宙船の名前はA号、もう一方の宇宙船の名前をB号とします。

また双方の宇宙船の最大速度は光速の10%であるとします。

まず最初に出発前の2隻の宇宙船にもつれ状態にある粒子のペアを大量に詰め込みます。

この粒子たちは、一方が縦揺れならばもう一方は横揺れというようにもつれ状態にあります。

それぞれのペアには相方と同じ番号が振られ、長期間の維持に耐えられるような頑丈な容器に格納されます。

そして2隻の宇宙船の船長たちは、お互いが5万光年進んだ時点で通信を行うことを約束し、さらにそのときに使用する量子もつれのペアも決めておきます。

宇宙船の速度が光速の10%であるため、5万光年進むには50万年を要するでしょう。

そして50万年後、A号の船長は約束された時間になると決められた順番で、もつれ状態の粒子に対して縦揺れあるいは横揺れになるような恣意的な弱い観察を行います。

一方銀河の反対側にいるB号でも準備をはじめ、タイミングをあわせて決められた粒子に対する観測を行います。

するとB号の観測結果はA号で行われた恣意的な弱い観測の影響を受けて、縦揺れと横揺れのパターンが決まっていきます。

量子もつれのペア1440対を消費することでこのようなハートマークのアスキーアートを送ることができます
量子もつれのペア1440対を消費することでこのようなハートマークのアスキーアートを送ることができます / Credit:clip studio