超光速通信「もどき」がいつの日か市場を席捲するかもしれません。

米国のシカゴ大学(UChicago)で行われた研究により、量子もつれに工夫を加えることで、現代の光速に情報通信が限定された株式市場において、圧倒的に有利な立場をとれる可能性が示されました。

超光速通信というとオカルトやSFの部類に思えますが、量子もつれの仕組みを使えば、疑似的にこれを達成することが可能です。

研究ではこの量子もつれを利用した疑似的な超高速通信を量子テレパシーと定義しており、既存の情報伝達システムに対して有意なアドバンテージがとれることを実証しています。

今回はこの疑似的超光速がいかにして達成されるか、またこの仕組みが将来の株式市場においてどんな利点になり得るかをわかりやすく解説したいと思います。

研究内容の詳細は2024年7月31日にプレプリントサーバーである『arXiv』にて公開されました。

目次

  • 量子テレポーテーションを使った疑似的な超光速通信は可能
  • 疑似的な超光速通信で株式市場を支配する

量子テレポーテーションを使った疑似的な超光速通信は可能

量子もつれや量子テレポーテーションを扱う科学記事のコメントではしばしば「超光速通信」に触れた書き込みが散見されます。

量子もつれによれば「一方を観測することでもう一方の状態が瞬時に確定する」「たとえ銀河の端と端にいたとしても一瞬で粒子の状態が伝わる」といった説明がされるため、この部分が「超光速通信」と関連していると思う人が多いでしょう。

一方、量子力学について詳しい人々にとってそのような勘違いは非常に滑稽に映るため、しばしば量子力学に関する記事のコメント欄は混乱状態に陥ります。

結論から言えば、量子もつれや量子テレポーテーションを使った超高速通信は疑似的には可能です。

近年の研究では、もつれ状態にある粒子に対して、もつれ状態が壊れない弱い観測を、恣意的な結果が得られるように行う方法が注目されています。